札幌市議会 2017-06-12
平成29年大都市税財政制度・人口減少対策調査特別委員会−06月12日-記録
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
佐々木みつこ 委員長 異議なしと認め、副委員長には、
林清治委員が選任されました。
それでは、林副委員長、ご着席の上、就任のご挨拶をお願いいたします。
○林清治 副委員長 ただいま副委員長に選任いただきました林でございます。
微力ではございますが、
佐々木委員長の補佐をしっかりとしながら、皆様のご協力をいただき、しっかりと
委員会運営に努力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○
佐々木みつこ 委員長 引き続き、各会派から理事の氏名を通告いただきます。
それでは、順次、通告願います。
(「
自由民主党・
中川賢一委員」「
民進党市民連合・
成田祐樹委員」「公明党・好
井七海委員」「
日本共産党・
太田秀子委員」と呼ぶ者あり)
○
佐々木みつこ 委員長 それでは、理事には、
自由民主党・
中川賢一委員、
民進党市民連合・
成田祐樹委員、公明党・好
井七海委員、
日本共産党・
太田秀子委員、以上4人ということで確認させていただきます。
次に、平成30年度国の施策及び予算に関する提案(通称〜「白本」)についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎中垣内
財政局長 本日、お手元にあります平成30年度国の施策及び予算に関する提案、いわゆる白本と呼ばれているものについてご審議をいただきたく思っております。
地方を取り巻く全体感について若干触れさせていただきますと、既にご案内の
少子高齢化と人口減少が二大トレンドということでございまして、まずは
少子高齢化対策をどうするかということは、本市も含めてですが、地方自治体の一つの大きなポイントとなっていると認識しております。
もう一つ、
指定都市に関して申上げると、
指定都市は、ご案内のとおり、圏域の中の中心都市であり、交通経済の中心地であります。したがいまして、一般の自治体にはないような、あるいはまだ顕在化していないような問題、例えば、都市の活性化あるいは公共施設の総合管理、長寿命化をどうするかとか、施設の総量を減らしていきながら、どうやって
住民サービスを確保していくかとか、そういった問題について、先駆的に役割を果たしていくという使命が重くなっているのかなと思っております。ただ、そういった施策を展開する上にあっては、当然ながら、税財源の充実とか、あるいは国費においても的確に
予算措置をしていただくことが不可欠と認識しております。
そのような観点から、この白本におきましては、さまざまな諸課題について国に提言をすることとしております。
中身については
小角財政部長からご説明申し上げますが、各委員におかれましては、引き続きご支援、ご協力のほどをよろしくお願いしたいと思います。
それでは、細目について、
財政部長からご説明をさせていただきます。
◎小角
財政部長 それでは、資料に基づいてご説明させていただきます。
まず、配付資料を確認させていただきます。2種類ございます。
初めに、資料1は、平成29年度
国家予算等の状況と提案の主な結果でございまして、平成29年度の
国家予算の概要と昨年度の白本提案の結果について、主なものをまとめたものでございます。続きまして、資料2は、平成30年度国の施策及び予算に関する提案(案)でございます。こちらは、実際の提案書の形式でまとめたものでございます。
それではまず、平成29年度
国家予算等の状況と提案の主な結果についてご説明させていただきます。
資料1をごらんください。
まず、1ページは、
国家予算概要についてでございます。
平成29年度
国家予算のフレームと最近の推移をまとめております。
平成29年度予算は、一昨年前に閣議決定された経済・
財政再生計画の2年目となりますことから、経済再生と
財政健全化の両立を実現する予算として編成されまして、当初予算額は前年度比0.8%増の97兆4,547億円となっております。
歳入のうち税収は、57兆7,120億円と、前年度1,080億円、0.2%上回っております。一方、公債金は、前年度を622億円下回る34兆3,698億円となっております。
なお、平成29年度末見込みの公債残高につきましては、下の表の右下にございますとおり、前年度より20兆円増の865兆円と見込まれているところでございます。
次に、2ページをごらんください。
ここでは、平成29年度の
地方財政計画の概要をまとめております。
平成29年度につきましても、24年度から引き続き
通常収支分と
東日本大震災分の区分によって整理されておりますが、資料では
通常収支分を掲載させていただいております。
今年度の計画では、地方が、一億総活躍社会の実現や
地方創生の推進、
防災減災対策等に取り組みつつ、安定的に
財政運営を行うことができるよう、
一般財源総額について、前年度を0.4兆円上回る62兆803億円が確保されました。
歳入では、地方税を39兆663億円、前年度比0.9%の増収と見込み、
地方交付税総額につきましては、前年度比2.2%減の16兆3,298億円とされております。歳出につきましては、
社会保障の充実分や、日本一億総
活躍プランに基づく保育士や
介護人材等の
処遇改善に係る経費を計上した結果、前年度を1.0%上回る86兆6,198億円となっております。
3ページからは、平成29年度国の施策及び予算に関する提案、すなわち、昨年度の白本提案の主な結果を載せておりますが、その中の主な項目について説明させていただきます。
まず、
提案項目4番目の
地方固有の財源である
地方交付税の必要額の確保と
臨時財政対策債の廃止に関しましては、
一般財源総額は前年度を0.4兆円上回る額が確保されておりますが、中でも、
地方交付税は、その原資を最大限確保することにより、前年度比3,705億円の減にとどまったほか、
臨時財政対策債は、
概算要求時点で見込まれた増加を可能な限り抑制し、前年度比2,572億円の増となったところでございます。
次に、
提案項目6番目の
児童福祉施策の拡充に関しましては、保育園、
放課後児童クラブの
受け皿確保のため、
施設整備費の補助率のかさ上げが継続されましたほか、
保育人材確保のためのさらなる
処遇改善や
利用者負担軽減のため、保育料の
軽減措置拡充が行われたところでございます。
これらのほか、
県費負担教職員制度の見直しに伴う
財政措置や保健福祉などの各項目について、4ページまで記載をさせていただいておりますが、各分野におきましても一定の成果が得られたものと考えているところでございます。
続きまして、平成30年度国の施策及び予算に関する提案(案)についてご説明させていただきます。
資料2をごらんください。
表紙を1枚おめくりいただきますと、目次が掲載されております。税財政・
大都市制度関係と
個別行政分野関係を合わせて15項目となっております。
提案項目の選定方法でございますが、最初に、
指定都市の各分野の主管局による各
局長会議が白本としてふさわしい要望項目を選定し、その項目の中から
指定都市市長会として特に重要性や緊急性の高いものをさらに厳選し、内容の重点化を図りまして、15項目を決定したところでございます。
次に、右のページをごらんください。
提案書の前文が掲載されております。
平成30年度
国家予算編成に当たり、真の
分権型社会の実現に向け、適切な措置を講ずることを要請するとしております。
おめくりいただきまして、1ページをごらんください。
こちらは、税財政・
大都市制度関係と
個別行政分野関係に分けて
提案事項を掲載し、
提案項目全体を一覧できるように掲載しております。それぞれの提案内容の詳細につきましては、5ページ以降に掲載しております。
それではまず、税財政・
大都市制度関係から
関係項目を説明させていただきます。
少し飛びまして、5ページをごらんください。
最初は、真の
分権型社会の実現のための国・地方間の
税源配分の是正でございます。
下段左側の図にございますとおり、現状における国、地方間の税の配分と税の実質配分には依然として大きな乖離がございます。
真の
分権型社会を実現するために、消費税や法人税といった複数の基幹税からの税源移譲を行い、国、地方間の税の配分をまずは5対5とすること、さらに、国と地方の新たな役割分担に応じた税の配分となるよう、地方税の配分割合を高めることを求めるものでございます。
資料右側の6ページの
大都市税源の拡充強化でございます。
ここでは、人口の集中や産業集積に伴う
都市的課題から生ずる
大都市特有の
財政需要や、道府県から移譲されている事務・権限があるにもかかわらず、必要な財源については、税制上の措置が不十分であるため、個人・
法人所得課税や消費・流通課税に係る国、道府県からの税源移譲により、
大都市税源の拡充強化を図るよう求めるものでございます。
資料をおめくりいただきまして、7ページの
国庫補助負担金の改革でございます。
これは、真に住民に必要なサービスを地方みずからの責任で自主的、効率的に提供できるよう、国と地方の役割分担の見直しを行った上で、地方が担う分野につきましては、
国庫補助負担金を廃止し、所要額を税源移譲することを求めているものでございます。また、税源移譲されるまでの間は、国において必要総額を確保することや、自由度が高く、活用しやすい制度にすることを求めるものでございます。
その右側の8ページは、
地方固有の財源である
地方交付税の必要額の確保と
臨時財政対策債の廃止でございます。
地方交付税は、地域社会に必要不可欠な一定水準の
行政サービスを提供するための
地方固有の財源であることから、地方の
財政需要などを適切に見込み、必要額を確保すること、また、
地方財源不足の解消は、
地方交付税の法定率の引き上げによって対応し、代替措置としての
臨時財政対策債は速やかに廃止することなどを求めるものでございます。
資料をおめくりいただきまして、9ページは、多様な
大都市制度の早期実現でございます。
規模や地域で果たす役割などそれぞれが異なる特性を有する各
指定都市が、
基礎自治体優先の原則のもと、よりよい
行政サービスを提供できるよう、地域の特性に応じた多様な
大都市制度を実現するよう求めるものでございます。
以上が税財政・
大都市制度に関する
提案事項でございます。
続きまして、
個別行政分野に関する
提案事項についてご説明させていただきます。
まず、右側の10ページの
児童福祉施策の拡充でございます。
待機児童対策を初め、子ども・
子育て支援新制度の充実や、保育料など
子育て家庭の
経済的負担の軽減、
児童虐待防止対策や子どもの貧困対策といった
児童福祉施策の推進のため、
財政措置の拡充など、必要な措置を講ずるよう求めるものでございます。
おめくりいただきまして、11ページは、
医療保険制度の
抜本的改革及び
国民健康保険財政の確立でございます。
市町村の
国民健康保険は、被保険者に占める高齢者や所得の低い方の割合が高く、一般会計からの多額の繰り入れに頼らざるを得ないなど、
財政基盤が極めて脆弱でございます。国民皆
保険制度を安定的で持続可能な制度とするため、国の責任において
医療保険制度の一本化に向けた改革を実現するとともに、一本化が実現するまでの間の必要な
財政措置などを求めるものでございます。
その右側の12ページは、
インフラ施設の
長寿命化対策でございます。
いわゆる
高度経済成長期に多く建設された
インフラ施設は、今後、急速に老朽化が進みますことから、国において計画的な維持管理、更新などに必要となる財源を十分確保するとともに、新技術等による
コスト低減手法の開発や支援などに努めることを求めるものでございます。
資料をおめくりいただきまして、13ページは、
教職員定数の充実改善でございます。
少人数学級を初めとする少人数指導など、きめ細やかな教育活動の実現に向けた
義務標準法の改正による定数改善のほか、
特別支援教育の充実など、新たな教育課題や地域の実情に応じた
教職員配置を可能とする定数措置を求めるものでございます。
続いて、右側の14ページは、
介護保険制度の円滑な実施でございます。
介護保険制度を安定的に運営し、地域の実情に応じたサービスを提供できるよう、必要な
財政措置を講ずるとともに、公費による所得の低い方への
保険料軽減について、さらなる
負担軽減策の実施などを求めるものでございます。
資料をおめくりいただきまして、15ページは、生活保護の更なる適正化及び
生活困窮者支援に対する
財政措置でございます。
生活保護制度のさらなる適正化を推進するため、
生活保護費の
全額国庫負担や
貧困ビジネスの規制などの必要な措置を
地方公共団体の意見を十分踏まえて講ずるとともに、ホームレスの自立支援などの施策を含む
生活困窮者自立支援制度においても、
地方公共団体の実情に応じた事業が実施できるよう、十分な
財政措置を求めるものでございます。
続きまして、右側の16ページは、訪日旅行の需要拡大及び
MICE受入れのための環境整備でございます。
訪日旅行や
MICE誘致による経済効果の拡大を図るため、
訪日外国人の
受け入れ環境の整備や
MICE誘致を円滑に推進できるよう、十分な予算の確保と支援の拡充を求めるものでございます。
資料をおめくりいただきまして、17ページは、難病法の
大都市特例施行に伴う適切かつ確実な
財政措置でございます。
難病法における
大都市特例の施行により、平成30年度から、新たに
指定都市が負担する
特定医療費の支給に要する費用などについて、適切かつ確実な
財政措置を求めるものでございます。
続いて、右側の18ページは、
正規雇用及び長期的な雇用拡大につなげる
雇用施策の推進でございます。
国と地方が一体となった働き方改革の推進を図るため、非
正規雇用の
処遇改善など、
正規雇用及び長期的な雇用を実現するための制度を確立するとともに、
地方公共団体が地域の実情に応じて実施する
雇用施策について、
財政措置を含めた積極的な支援を求めるものでございます。
最後は、おめくりいただきまして、19ページでございます。
義務教育施設等の整備促進でございます。
安全で良好な教育環境を確保するため、
地方公共団体が計画的に施設整備に取り組むことができるよう、国が十分な財源を確保することを求めるものでございます。
以上が白本本文の概要でございます。
最後に、今後の日程についてでございますが、本日、原案についてご審議いただき、その結果を踏まえまして、
指定都市の窓口・
財政担当局長によります協議において最終案を決定しました後、7月3日に予定されております本委員会で改めてご報告させていただきたいと考えております。
○
佐々木みつこ 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
中川賢一 委員 私からは、今回の要請は15項目ありますが、細かい内容についてではなく、そもそもの白本要請のあり方という点に関して、何点か質問させていただきたいと思います。
白本要請は、
政令指定都市の行政と議会が一体となって、市長、議長の連名で要請活動を行うことに特徴がございまして、先ほど実績の報告がありましたけれども、
県費負担教職員の
給与負担等の権限、税源の移譲を実現するなど、一定の効果が上がってきているということではございます。ただ、今回の提案書を改めて見直してまいりますと、
提案事項が15項目と広範にわたっておりまして、その内容も、若干、総花的な感も否めない、よくいえば満遍なく各都市の行政課題を網羅しているのかもしれませんが、逆の見方をしますと、どこが重点なのか、焦点がぼけていて、相手側に要望するこちらからの思いや迫力というものがしっかり伝わっていくのかなというようなことも感じるわけでございます。
また、1項目めにあります国、地方間の
税源配分の是正など、毎年上げられておりますけれども、目立った進展は得られない項目もございます。確かに、これらの交渉が容易ではないことは理解しておりますけれども、特に工夫等をした形跡も見られないままに、惰性のように
例年どおりの文章を踏襲しているようにも感じられるところでございます。
確かに、
指定都市も20市にふえて、その規模も性格も異なっている中で、各市の意見を調整して一冊の提案書としてまとめていくのが簡単な作業ではないことは十分に理解しております。しかし、そうでありますからこそ、その分、結果的には国にいなされやすい内容のものになってしまうということが起きないように十分に配慮して、戦略的に対応していく必要があるのではないかなと考えるところでございます。
そこでまず、質問ですが、今回の15の
提案事項がどのような作業やプロセスを経て選定されてきたのか、お伺いしたいと思います。
◎小角
財政部長 提案項目選定のプロセスについてのご質問でございます。
提案項目につきましては、
税財政関係を4項目、
大都市制度関係を1項目、
個別行政分野を10項目としておりまして、基本的には平成30年度
国家予算編成に向けた提案ですが、
税財政関係と
大都市制度関係は中長期的な提案も含んでいるところでございます。
1から5の
税財政関係、
大都市制度関係は、それぞれ
指定都市市長会会員市による
主管局長会議等において作成したものでございます。
次に、6から15の
個別行政分野につきましては、まず、
福祉分野や
経済分野など各分野の
局長会議等におきまして、白本に掲載すべきと考える提案を2項目以内、
福祉分野につきましては例外として5項目以内となっておりますが、これが
指定都市市長会事務局に提出されまして、その結果、今年度は27項目となったところでございます。
その案から、今回、白本に掲載する項目につきましては、政令市に共通した
提案項目を選定するという趣旨から、白本に掲載すべき提案10項目について、各市が全市的な観点で、1位10点、2位9点と10位までの順位づけを行いまして、その集計結果の上位10項目を20市共通の提案として選定したものでございます。
◆
中川賢一 委員 20市をまとめていくのは大変な作業でございます。個別の
行政分野の要望につきましては、各市の局長で構成される
局長会議で分野ごとに項目を出して、また、各市が点数をつけて選定したということでございます。
選定方法としては非常に平等かつ合理的だとは思いますけれども、言いかえると、20市の最大公約数的な項目という結果になると思います。交渉相手になります国にとっては、それがどのように揺れ動かされるのかということとか、また、札幌市にとってはどの程度望ましいものに仕上がったのかということは、また別の視点から評価していかなくてはならないのかなというふうに考えております。
やはり、本市としましては、共同作業ではございますけれども、その中で札幌市の立場や要望といったものをいかに少しでも反映させていくのかということが重要となってくると考えます。その点は、今回、どのように取り組まれたのか、そして、その結果はどうであったのか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。
◎小角
財政部長 札幌市の立場や、要望の反映に向けた取り組みとその結果についてのご質問でございます。
個別行政分野選定に当たりましては、本市にとっての
財政面等に与える影響の大きさ、あるいは、平成30年度における喫緊の課題であるか、提案が具体的であるかなどを総合的に考慮して順位づけを行ったところでございます。
本市におきましては、
社会保障関係経費の割合が高く、また、財政に与える影響が大きいため、今回、
介護保険、難病法、医療保険など、
社会保障関係に関する項目を上位に順位づけしたところでございます。
白本は、あくまで20市共通の課題について提案するものでございますが、今回は、結果として本市が順位づけをした上位9位までが白本の
提案項目となっていまして、おおむね本市の意見、意向に沿った項目選定となったものと考えております。
ほかにも、提案がより効果的となるよう、文案の修正意見や、
介護保険と
地域包括ケアシステムの二つに分かれていた
提案項目を統合する意見を出させていただいたところでありまして、このようなものについても、今回、提案の中で採用されたところでございます。
◆
中川賢一 委員 20市の共同作業という中で、札幌市の上位9位までが反映されたということで、本市も、重要な項目は織り込めた認識だということで理解させていただきました。
交渉相手が国という権限も財源も圧倒的に優位な相手でございますので、各都市で協力してやっていく部分については、札幌市として果実を最大にしていくという部分と、いかに上手に組み立てていくかというところが戦略でございます。また、この後の審議事項になりますけれども、本市の重点要望などとの手段を有機的に組み合わせていくことが大変重要なのかなと思います。
また、20都市共同の要望手段としましては、白本のほかに、
大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望、いわゆる青本ですが、双方が重複している要望も少なくないといった中で、それぞれの手段をいかに効率的・効果的に組み合わせていくのか、今後の考え方も整理していく必要があるのかなと考えるところでございます。
そこで、こういった観点から、国への要望をより戦略的に展開できるよう、今後、白本のあり方の見直しなど、いろいろな角度から検討していくべきと考えますが、お考えをお伺いしたいと思います。
◎小角
財政部長 国への要望の戦略的な展開に向けた今後の白本のあり方の見直しについてのご質問でございます。
白本のあり方につきましては、
指定都市市長会でも同様の問題意識がございまして、今年度から白本
見直しプロジェクトチームを設置したところでございます。検討への参加を希望する8市が参加しておりまして、本市もその
プロジェクトチームに参画しているところでございます。
現在は、項目の数や内容、実施時期、要請先、それから、ご指摘にもございました青本との重複などについて課題の洗い出しを行っているところでありまして、さらに効果的な要請となるよう、本市も積極的に意見を述べてまいりたいと考えており、本日の審議でのご指摘も踏まえて対応してまいりたいと考えているところでございます。
また、白本だけでなく、青本や
指定都市市長会単独での要望、さらには本市独自の要望など、それぞれの役割を踏まえつつ、効果的に組み合わせて戦略的かつ効果的な要望活動となるよう、今後も検討を重ねてまいりたいと考えております。
◆
中川賢一 委員 白本の見直しに向けて、
指定都市間の
プロジェクトチームができたということで、札幌市も8市の中に参画しているということでございますので、これは大変結構なことだと思います。その他の手段についても、見直し、改善等が必要な部分もあると思いますけれども、20市の中で、ある意味、本市の立場を図々しく言っていただきたいと思います。こういうものを見ていると、どうしても、東側の自治体は非常につつましいところがございますので、自分たちの事情を積極的にアピールして見直しに取り組んでいただければと思います。
◆成田祐樹 委員 私は、白本の
提案事項詳細説明の中から、項目4番目の
地方固有の財源である
地方交付税の必要額の確保と
臨時財政対策債の廃止、項目7番目の
医療保険制度の
抜本的改革及び
国民健康保険財政の確立に関して質問させていただきたいと思います。
最初に、4番目の
臨時財政対策債についてですが、年々、臨財債の規模が増加していることが大変気になっております。償還時には全額交付税措置される前提なのは承知しておりますが、当初は2001年から3年間の予定で設けられた制度が今も延ばし延ばし継続されているということを考えると、どうやって全額交付税措置していくのか、将来的な展望がはっきりしない中で、今後の
地方財政計画の行方によっては、措置そのものが本当に担保されるのかどうか懸念されるところです。
特に、今年度予算では、
地方交付税が減額になり、
臨時財政対策債が増額となっているということを考えると、地方財政全般にとって大きな問題であると考えております。
そこで、質問ですが、
臨時財政対策債が増加したことについて、国の考え方をどのように認識しているのか、まずはお伺いしたいと思います。
◎小角
財政部長 臨時財政対策債が増加したことの認識についてのご質問でございます。
まず、今年度の
地方交付税は、
地方交付税の原資となります国税が昨年度の国の補正予算で減額されたことなどの影響によりまして、結果、ご指摘もございましたとおり、減額となっております。
一方、
臨時財政対策債は、
地方交付税の必要額を確保するために、原資では足りない部分を補填するための措置でありますことから、今申しました
地方交付税の減少によって不足部分を埋めるという形で増額となったものでございますが、概算要求額と比較いたしますと、さまざまな他の財源を集めて、
臨時財政対策債の増加を極力抑えながら、地方一般財源の総額を確保する形になったものと受けとめているところでございます。
なお、償還時の交付税措置につきましては、
臨時財政対策債発行開始時からの国の方針であり、これは堅持されるべきものと考えており、ご指摘のような懸念が現実にならないよう、国の議論を注視しながら、的確に地方の考え方を国に対して訴えてまいりたいと考えております。
◆成田祐樹 委員 ぜひ、国に対してしっかり要望していただくとともに、臨財債をたくさん抱えさせらせて、それが足かせになってしまうということのないように、廃止を求めることもそうですが、ぜひ注視していただければと思います。
もう1点、お伺いしますが、昨今の国における議論では、地方財政が国よりも優遇されているかのような意見も出ており、
地方財政計画の方向性が気になるところです。特に、財政調整基金が取り上げられるなど、地方がどこかでお金をため込んでいるのではないかという誤った認識のもとで国が方針をつくっていくのであれば、多くの地方都市が大きな影響を受けることになります。
札幌市では、昨年末の大雪によって除雪費に数十億の追加補正があったかと思いますが、200万人都市かつ積雪地という世界的にもまれに見る地域事情を考えると、いつ財調を大きく切り崩すことになるかわかりません。特に、札幌市は、自主財源が少なく、
地方交付税に依存する財政構造という点に鑑みると、国の方向性のちょっとした変化でも
財政運営に大きな影響が出てくることが懸念されます。
そこで、お伺いしますが、本市は、地方財政をめぐる国の議論について、今後、情報収集をどのように行っていくのか、お伺いしたいと思います。
◎小角
財政部長 国の議論について、今後、情報収集をどのように行っていくのかについてのご質問でございます。
国の骨太の方針におきましても、平成30年度までは地方一般財源の総額を平成27年度のレベルで確保するとの方針が閣議決定されておりますが、その後につきましては不透明な状況にございます。このため、今年から来年にかけての国の議論は、交付税に頼った
財政運営を余儀なくされております本市にとっては、非常に重要かつ注視すべきものと考えております。
こういった背景も踏まえまして、ことし4月から、内閣府の経済財政諮問会議を所管する部署に財政部より新たに係長職の職員を1名派遣したところでございまして、これまでの
指定都市市長会などにおける情報収集に加え、さまざまなチャンネルで迅速かつ綿密な情報収集を行っていきたいと考えております。
◆成田祐樹 委員 平成30年より先のことを見越して職員を派遣されたということで、アンテナを非常に大きく張られているなと思います。こういった誤った地方の情報が伝わらないよう、さまざまな情報収集を引き続き行っていただきたいと思います。
次に、項目7番目の
医療保険制度の
抜本的改革及び
国民健康保険財政の確立に関してお伺いします。
国保の財政安定化のため、平成30年度より都道府県化が行われると聞いております。市町村の事務の効率化などに加えて、約3,400億円の公費の拡充も行われることから、国保の財政安定化に一定の効果があると思われますが、その一方で、医療費そのものが増加傾向であり、パイそのものがふえていくことを考えると、今の制度が維持できるのか、注視しなければなりません。
国保運営方針の中には、ジェネリック医薬品の使用促進など、医療費がかさまないような方向を打ち出してはおりますが、そもそも病気にならないことで医療費の増加を抑えるということも大事な課題であり、そのためには、健康増進や予防医療の観点も重要と考えております。
そこで、質問ですが、今回の制度改正において医療費の削減に関する支援があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
◎小角
財政部長 今回の制度改正におけます医療費の削減に関する支援についてのご質問でございます。
医療費適正化など、保険者の仕組みを評価し、支援金を交付するインセンティブ制度として、来年度から保険者努力支援制度が創設されるという状況となっております。これは、全国で約700から800億円規模で実施する予定となっておりますが、これに先立ちまして、既に、保険者機能の強化を目的に、平成28年度より調整交付金を利用して、150億円規模で前倒し実施をしているところでもございます。
これに係る平成28年度交付額の算定は、健康診断受診率、あるいは、糖尿病等の重症化予防の取り組み状況、また、予防・健康づくりの取り組み状況、適正受診・適正服薬の取り組み状況、後発医療品の使用促進の取り組み状況などの指標により行われておりまして、28年度の札幌市につきましては、今のところ2億3,000万円ほどの交付内示を受けたところでございます。
◆成田祐樹 委員 今、お話をいただきましたが、健診や生活習慣病への対応として、保険者努力支援制度というもので保険者の取り組みに対して交付金が交付されるということは、市町村のやる気にもつながることから大事なことであると思いますし、正直、都道府県化によってどうなるのかなと思っていた自治体単位での努力がちゃんと反映されなければ困るなと思っていたところでございます。
しかしながら、この努力や取り組み自体も、国が大きく支援していただけるのであればありがたいのですが、実際のところは、こういった対応策も、自治体が単費で実施しているパターンがあると聞いておりますし、国保単独で努力しても、できることに限界があることから、本当の意味での国保の安定運営につながるかは不透明な部分があるかと思うわけです。
そこで、お伺いしますが、札幌市としては、このような制度で国保の医療費削減が進むものと考えるか、見解をお伺いしたいと思います。
◎小角
財政部長 このような制度で、国保の医療費の削減が進むと考えているのかというご質問でございます。
先ほどもご説明させていただきました支援金によるインセンティブを設けることで、中長期的には一定の効果が期待されると考えておりますが、国保におきましては、高齢化の進展や高額医療の増加などにより、今後も医療費そのものの増加が想定されることが大きな課題と認識しております。
このため、医療費抑制のインセンティブだけではなく、
医療保険制度の一本化に向けた抜本的な改革とか、さらなる公費の追加等の
財政措置の実施、適正な薬価の設定などもあわせて実現していくことが必要と考えております。
このため、今回の制度改正の影響を注視するとともに、それらを踏まえて、今後も国に必要な措置を求めていきたいと考えているところでございます。
◆成田祐樹 委員 今回の制度改革で、国保財政の安定化に一定の効果があるとは思われますが、やはり、構造的な問題の解決には至らないのではないかと考えているところです。
国において医療費の抜本的な改革に取り組んでいただかなければ、結果的には回り回って自治体に負担が来るのではないかと思われます。自治体においても、単なる医療費抑制という形ではなく、病気にならないことによる医療費削減の取り組みが必要かと思われますし、このようなことが国保財政の安定化につながるのではないかと考えております。
よって、白本においても、自治体における予防医療や健康づくりに着目した要望の検討をお願いして、質問を終わります。
◆竹内孝代 委員 私からは、このたび新たに加えられました項目13の難病法の
大都市特例施行に伴う適切かつ確実な
財政措置に関して、2点伺います。
さきの代表質問でもテーマとして取り上げさせていただきましたが、これまで、難病の医療費助成事務は、難病法に基づいて都道府県が所管し、北海道が実施主体であったところ、平成30年度からは、
大都市特例により、札幌市に全ての権限が移譲されることになっています。今後は、札幌市が主体的に難病対策を行え、難病患者へのさらなる施策の充実が図られるという意味からも、この権限移譲については大変期待が大きいものであります。
その一方で、医療費助成のほか、人件費や事務費などの多額の財政負担が生ずることが懸念されます。特に、代表質問においても、今後の難病対策についてお伺いしたことに対しまして、相談支援の質的充実や利便性の向上に努めたい、また、難病対策地域協議会の設置を予定しているなど、今後の難病対策の充実を図る旨の答弁がありましたが、こうした施策を確実なものとするためにも、その財政状況が気になるところであります。
そこでまず、質問ですが、
指定都市に新たに生ずる負担とはどのようなものであるのか、お伺いいたします。
◎小角
財政部長 難病法の
大都市特例施行に伴います新たな財政負担についてのご質問でございます。
まず、金額が最も大きいものは医療助成費でございます。推計には北海道におけます実績を把握する必要があり、現時点におきましては正確な推計が難しい状況でございますが、額にして数十億円規模となることが予想されております。
このほかに、電算システムの運用経費などの事務費、指定難病の申請に関する審査員への報酬、医療費の支払いに当たっての審査機関への手数料、また、難病患者やその家族を対象とした難病相談支援センターや難病対策地域協議会の設置・運営に係る経費など、さまざまな経費がかかることが現時点で見込まれているところでございます。
◆竹内孝代 委員 現時点では正確な金額の推計が難しいということではありましたけれども、医療助成費で数十億円規模の財政負担、また、ほかにもさまざまな負担も考えられるということがわかりました。
本市の財政状況からも、札幌市の持ち出しが大きくならないように、国の責任において適切に
財政措置がされることが必要であると考えます。
そこで、次の質問ですが、
指定都市の新たな財政負担に対してどのような
財政措置が講じられる見込みであるのか、また、今回の白本においてはどのような
財政措置を要請するものであるのか、その内容についてお伺いいたします。
◎小角
財政部長 財政措置の見込み及び要請内容についてのご質問でございます。
まず、医療助成費につきましては、国庫負担率が2分の1となっておりまして、残りは一般財源負担となります。また、指定難病審査会や難病相談支援センターに要する経費のように国庫補助が見込まれるものもございますが、現在は一定額の補助となっており、国の定める単価が低いことや予算そのものが少ないことによって補助が不足することも考えられる状況でございます。さらに、現状では、人件費や電算システムの運用経費などの事務費は国庫負担の対象とはなっておらず、一般財源での負担とならざるを得ない状況となっております。
こうしたことから、提案の趣旨としては、
国庫補助負担金については事務費も含めて国庫負担の対象とするとともに、費用について実態と乖離がないよう積算し、補助が不足することがないよう要請し、加えて、一般財源負担につきましても、その規模に応じた道府県からの税源移譲の実施や、所要額の確実な交付税措置を要請するという内容としたところでございます。
◆竹内孝代 委員 札幌市の難病患者に対する施策の充実を図るためにも、今回の白本において、今答弁がありました内容で適切な
財政措置を要請するのは、時宜にかなったものだと考えます。
現在、医療資源が集中する札幌市の難病患者数は約2万人で、道内患者数の約4割を占めていることになります。さらに、この4月には、医療費助成の対象が330疾病に拡大されたことからも、本市の果たす役割は大変大きなものがあると思います。
今後、実施主体となる札幌市がよりよい制度を構築していくためにも、本市にとって大きな財政負担とならないよう、国に要請するとともに、医療費助成事務の権限委譲が円滑に行われるよう、北海道と密に連携を図りながら取り組みを進めていただくことを求めまして、質問を終わります。
○
佐々木みつこ 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
なければ、質疑を終了いたします。
最後に、平成30年度
国家予算等に対する札幌市重点要望事項についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎浦田 まちづくり政策局長 本日は、国の予算、制度の両面にわたり、札幌市が抱えております重要な問題について独自に要望を行う平成30年度札幌市重点要望について、その原案をご審議いただきたいと存じます。
今年度につきましては、昨年度に引き続き、札幌市まちづくり戦略ビジョンの三つの重点テーマに沿って項目を重点化しており、九つの大項目のもとに、24の小項目を設ける構成としております。このうち、五つの小項目につきましては、今回、新たに要望するものでございます。
札幌の目指すべき都市像である北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち、互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまちの実現に向け、委員の皆様方のご協力をいただきながら、関係省庁や地元選出の国会議員に積極的に働きかけてまいりたいと考えておりますので、ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
内容につきましては、芝井政策企画部長から説明をさせていただきます。
◎芝井 政策企画部長 平成30年度札幌市重点要望(案)につきまして、ご説明いたします。
まず、配付資料を確認させていただきます。
3種類ございまして、資料3、平成29年度札幌市重点要望の要望結果、資料4、平成30年度札幌市重点要望(案)、資料5、省庁別要望項目一覧となってございます。
それでは初めに、昨年度の要望結果についてご説明いたします。
資料3をごらんください。
要望結果の主なものといたしまして、表側の3にあります国道5号(創成川通)の機能強化の早期実現では、平成28年12月に、北海道開発局、北海道及び札幌市で構成される札幌都心アクセス道路検討会が設置、開催されたところでございます。
次に、6の子ども・
子育て支援の充実・強化では、
国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置につきまして、平成30年度より未就学児までを対象とする医療費助成に対しては行わないとされました。
次に、7の国土強靱化に向けたまちづくりでは、本庁舎改築につきまして、公共施設等適正管理推進事業債が創設されましたほか、緊急防災・減災事業債について、対象事業が拡大され、期間が平成32年度まで延長されました。
要望結果の主な内容につきましては、以上でございます。
なお、委員の皆様方におかれましては、昨年8月2日、3日に、関係省庁などに対して札幌の現状や国への提言を直接お伝えいただきましたことによりまして多くの成果が得られましたことをこの場をお借りして感謝を申し上げます。
それでは、続きまして、資料4、平成30年度札幌市重点要望(案)をご説明いたします。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
構成といたしましては、昨年度と同様、札幌市まちづくり戦略ビジョンの重点テーマであります産業・活力、暮らし・コミュニティ、低炭素社会・エネルギー転換に分類しておりまして、要望の大項目は全部で九つとさせていただいております。
それでは、各要望事項の説明をさせていただきます。
まずは、1ページをごらんください。
1項目めは、冬季オリンピック・パラリンピックの招致についてでございます。
札幌市は、冬季オリンピック・パラリンピックを招致し、世界のウインタースポーツの拠点としての地位を高めるとともに、
地方創生の起爆剤としてまいります。このため、今後も、冬季競技を中心に、スポーツの振興をより一層進めながら、招致活動に官民一体で取り組んでまいります。
そこで、1として、冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る支援、2として、ナショナルトレーニングセンターの建設、3として、国際大会招致と国際基準に合致した施設整備への支援について要望してまいります。
次に、4ページをごらんください。
2項目めは、北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の早期完成についてでございます。
新幹線が札幌から鹿児島まで繋がることで、国内の高速交通網の基軸が形成され、リスク分散型のネットワーク構築による災害に強い国土形成に寄与すると考えられますことから、北海道新幹線は優先して整備すべきでございます。
さらに、首都圏や東北、北関東との新たな文化・経済交流を促進し、道内はもとより、国内経済の活性化に大きく寄与するものでございます。
そこで、1として、新函館北斗・札幌間の早期完成、2として、建設財源の確保及び地方負担に対する財源措置の拡充を要望してまいります。
続いて、6ページにございます3項目めは、国道5号(創成川通)の機能強化の早期実現についてでございます。
札幌市では、平成42年度末の北海道新幹線の札幌延伸に向けて、札幌駅周辺再整備の検討や官民連携による再開発の促進などに取り組んでございます。
これらの取り組みと連動し、周辺の空港などから都心へのアクセスを強化する広域的な交通ネットワークを形成するためには、都心と高速道路を結ぶ国道5号の機能強化が不可欠となります。
そこで、1として、道路整備に必要な予算の確保、2として、国による国道5号(創成川通)の機能強化の調査推進を要望いたします。
次に、8ページにございます4項目めは、国際集客交流促進に向けた取組の強化についてでございます。
札幌市は、北海道内のさまざまな業種にその効果が波及する観光産業に力を注ぐこととして、札幌のブランド力向上によるリピーターの確保のほか、市民のおもてなし意識の醸成やMICE施設の整備に向けた検討を進めております。さらに、世界から人や物を引きつける魅力的な都心を目指し、札幌の顔にふさわしいまちづくりに取り組んでまいります。
そこで、1として、新千歳空港の機能強化の着実な推進、2として、MICEの誘致支援と国際会議の本市開催、3として、道内航空ネットワークの充実に向けた丘珠空港の利活用の促進、4として、都市機能の充実に向けた都市開発事業への支援を要望いたします。
次に、12ページをごらんください。
5項目めは、子ども・
子育て支援の充実・強化についてでございます。
札幌市では、全ての市民が安心して子どもを産み育てることができるよう、多様な保育サービスなどを利用できる環境整備や、医療や保育、教育など、さまざまな面での
経済的負担の軽減により、
子育て支援を一層推進してまいります。
そこで、1として、子育て世帯への支援の拡充、2として、母子家庭等自立支援給付金事業(高等職業訓練促進給付金)の拡充を要望いたします。
なお、ただいま申し上げました項目のうち、1項目めにつきましては、昨年度に要望しておりました子ども・
子育て支援新制度における多子世帯への利用者負担額の軽減及び
財政措置の実施、それから、国による子どもの医療制度の構築の二つの事柄を統合して要望するものでございます。
次に、14ページにございます6項目めは、多様な教育環境の整備についてでございます。
札幌市では、平成28年度から試行的に算数学習における少人数指導の導入を進めるなど、指導の充実を図ってございます。また、教育機会確保法に基づき、多様な学びを支える環境の充実により一層取り組んでまいります。
そこで、1として、少人数学級の推進に向けた
教職員定数の拡充、2として、公立中学校夜間学級の設置に向けた支援を要望してまいります。
なお、ただいま申し上げました1項目めにつきましては、平成29年度からの
県費負担教職員に係る権限移譲を踏まえ、また、2項目めにつきましては、平成28年12月の教育機会確保法の成立を踏まえて、いずれも今回新たに要望するものでございます。
次に、16ページにございます7項目めは、国土強靱化に向けたまちづくりについてでございます。
札幌市では、平成28年1月に札幌市強靱化計画を策定して、平時から大規模自然災害などに対する備えを行い、災害に強い持続可能な都市の構築を推進しております。
そこで、1として、学校施設整備に係る国庫補助の拡充及び財源の確保、2として、下水道管の老朽化対策に係る支援の拡充、3として、除排雪経費に係る
地方交付税措置の拡充を要望いたします。
なお、ただいま申し上げました項目のうち、2項目めにつきましては、
インフラ施設の維持更新を円滑に進めていくため、今回新たに要望するものでございます。
次に、20ページにございます8項目めは、再生可能エネルギーの普及・促進についてでございます。
札幌市におきましては、自然と共生する快適な都市生活を実現するため、再生可能エネルギーの積極的な活用など、環境負荷の少ない低炭素社会の構築に向けた取り組みを進めております。
そこで、1として、北海道における再生可能エネルギーの導入拡大に向けた基盤整備の促進、2として、再生可能エネルギーの普及に向けた支援を要望してまいります。
最後に、22ページにございます9項目めは、環境負荷低減に向けた取組の推進についてでございます。
環境首都・札幌として、持続可能な低炭素社会の実現を目指し、効率的なエネルギーネットワークの整備や循環型社会への取り組みなどにより、環境負荷の少ないまちづくりを推進してまいります。
そこで、1として、自立分散型エネルギー供給体制の構築に向けた支援、2として、水素社会の早期実現に向けた支援強化、3として、適正処理困難廃棄物対策の推進、4として、建築物解体等に伴うアスベスト対策への支援を要望してまいります。
ただいま申上げました項目のうち、2項目めにつきましては、平成29年3月の札幌市燃料電池自動車普及促進計画の策定を踏まえ、また、4項目めにつきましては、今後、アスベスト含有建材を使用した建築物の解体が増加していくことなどを踏まえ、新たに要望するものでございます。
参考として、最後に資料5でございますが、こちらは、各要望項目を省庁別に分類して整理をしたものとなってございます。
○
佐々木みつこ 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
中川賢一 委員 私からは、大きく2点ほど質問させていただきたいと思います。
まず、1点目ですが、要望項目の7項目めの国土強靱化に向けたまちづくりについてでございます。
本市は、平成28年1月に、国の国土強靱化法の流れに沿って、地域計画として札幌市強靱化計画を策定し、それに基づく取り組みであると理解させていただいております。
まず、確認ですが、今回の大項目7の国土強靱化に向けたまちづくりに3項目がぶら下がっておりますけれども、本市の強靱化計画との整合性をそれぞれ確認させていただきたいと思います。
◎芝井 政策企画部長 今回の各要望項目における札幌市強靱化計画との整合性についてお答えいたします。
国土強靱化に向けたまちづくりにかかわる要望項目で取り上げております学校施設整備、下水道の老朽化対策、除排雪につきましては、いずれも札幌市強靱化計画に掲げる施策プログラムの、それぞれ、住宅建築物などの耐震化、老朽化対策、下水道施設などの防災対策、除雪体制の確保の推進事業に位置づけられておりまして、いずれも札幌市強靱化計画との整合性は図られていると考えております。
◆
中川賢一 委員 それぞれが市の強靱化計画の中に盛り込まれていて、整合がとれているということでございます。
引き続きまして、今回、新規にエントリーされました下水道管の老朽化対策に関して質問させていただきたいと思います。
札幌市の下水道整備は、昭和40年代から50年代にかけて集中的に進み、その時期に飛躍的に普及率が高まった結果、現在は99.8%と、ほとんどの市民が下水道を利用できる状況になってございます。
要望書(案)の資料によりますと、このうち、耐用年数の50年を経過した下水道管路は、現在のところは6%にとどまっておりますけれども、10年後には33%、20年後には74%にまで達するという見通しでございまして、このように、今後一斉に耐用年数を迎えますと、特定の時期にかなりの事業量が集中することになります。
そこで、次の質問ですが、現在の下水道管路整備の予算規模を確認させていただきますとともに、今後想定されます課題や、それに対する対応策について、本市のお考えをお伺いしたいと思います。
◎芝井 政策企画部長 下水道管整備の予算規模と今後の課題や対応策についてお答えいたします。
下水道管路の老朽化対策に係る平成29年度の予算は22億5,000万円余で、前年比で5億8,000万円程度の増となってございます。
今後、布設から50年以上経過する管路の急増によりまして、老朽化に起因する道路陥没など不測の事態が起きないよう、適切な維持管理や改築がより必要となる一方で、改築などの増加が下水道事業の経営に与える影響などが課題であると認識しております。
このため、将来を見据えた施設の老朽化対策の方向性を示し、計画的に改築を進めることを目的として、札幌市下水道改築基本方針を平成27年3月に策定したところでございます。この方針に基づきまして、適正な維持管理に努めつつ、管路の長寿命化と更新時期の平準化を図りながら改築事業を進めることによりまして、単純に耐用年数50年を基準として改築を行った場合に比べて、トータル事業費を約60%縮減することが可能と見込んでございます。
しかしながら、この対策を講じても、将来的には現状を大幅に上回る年間約90億円程度の事業費が必要になると見込んでおりまして、老朽管の改築を着実に実施していくためには、国からの支援が不可欠であると認識してございます。
◆
中川賢一 委員 ただいまのご答弁を伺いますと、今後急増します下水道管路の老朽化対策が本市の下水道事業の大きな経営圧迫要因であり、深刻な問題だということは認識を共有させていただきました。また、その対応策として、改築の基本方針を定めて計画的に対応しているということも改めて確認させていただきました。
ご答弁を伺いますと、基本方針の考え方に基づいて対応していきますと、事業費を約60%縮減することも可能だということです。それでも、将来的には、現状を大幅に上回る事業費が必要になるということでございますし、また、こういった試算というのは、机上で弾いたとおりにならないということもままあることでございますので、今後の改築事業量の急激な増加というものをある程度厳しいシナリオで捉えて、国による抜本的な支援策や十分な財源措置を強く求めていくことが重要なのではないかなと考えるところでございます。
そこで、次の質問ですが、今後急増する下水道の更新需要に対して、現在の国の支援メニューはどのようになっているのかという点と、また、そういった国の施策の方向性や、本市が直面している下水道施設の急速な老朽化という厳しい現状を踏まえまして、今後どのような要望を具体的に行っていくのか、お伺いしたいと思います。
◎芝井 政策企画部長 下水道管の改築事業についての現在の国の支援メニューと今後の要望内容についてお答えいたします。
まず、現在の国の支援メニューについてですが、老朽管対策に関して、本市に適用できる国の支援メニューは主に二つございます。一つは、従前から適用されております都市の規模や処理区域の大きさなどにより、一定規模以上の管径を対象とするものでございます。もう一つは、平成24年度に制度化されました老朽管緊急改築推進事業でありまして、管径にかかわらず、布設後50年を経過した下水道管に適用されるものでありまして、当初は平成28年度までの時限措置のものが平成29年度まで延長されたものでございます。
次に、今後の要望内容ですが、下水道施設の防災対策は、国の基本計画などと調和が図られた札幌市強靱化計画の施策プログラムの中でも、重点化を図る施策として位置づけられており、今後一斉に進行する管路の老朽化に着実に対応するためには、さらなる国の支援が必要であるため、要望するものでございます。
要望内容は二つございまして、一つは、先ほど申し上げました老朽管緊急改築推進事業につきまして、平成30年度以降も延長を求めるものでございます。さらには、既存の更新要件に合致する一定以上の管径の管路が市内では極めて限られていることから、例えば、都心など、都市機能が集積し、災害時に被害が甚大と想定される地区を重点エリアとするなど設定して、その面的整備に対して、管径にかかわらず、交付金の対象とするなど、新たな支援制度の創設を求めるものでございます。
◆
中川賢一 委員 大きく2点ほど要求していくということでございます。
老朽管緊急改築推進事業の延長を求めるということですが、経緯としては震災が背景にあることもございますし、抜本的な部分でいいますと、札幌市の管径などの特殊事情のところをしっかり求めていかなくてはならないのかなと思うところでございます。
さらに、札幌は、歴史的にも急激に発展した新しいまちだという特殊事情もございますので、他の都市に比較して一気に大量更新を迎えるという特殊な事情もございます。そういった札幌市の特殊事情を国にも十分に理解していただく必要があると考えます。そういったことも踏まえながら、計画的、安定的な更新事業に必要な財源確保や制度の設計というものをこちら側から国に提案していくことも重要なのではないかなと考え、我が会派としてもその点を踏まえて対応していければというふうに考えております。
下水道に関しては以上でございまして、引き続きまして、今回の本市の重点要望の項目選定全般についての考え方を若干確認させていただきたいと思います。
改めて言うまでもありませんが、この重点要望は、本市が抱えている重要な問題について、制度改正や
国家予算での配慮を求める札幌市独自の要望でございます。
しかるに、本市が直面している最大の問題は何かと考えますと、いろいろな見方や評価というものはあると思いますけれども、現在の本市の最大の歳出部門であって、その膨張速度がさらに加速することが確実であります福祉や
社会保障といったものが札幌市の最重要課題の一つであることには異論がないというふうに思います。
しかしながら、今回の要望項目の構成を拝見しますと、生活保護とか、医療・
介護保険制度などの
社会保障関連の項目というものが見当たりませんけれども、重点要望として取り上げる必要はなかったのか、これらの課題に対する本市のご認識をお伺いしたいと思います。
◎芝井 政策企画部長
社会保障制度の課題に関する本市の認識についてお答えいたします。
生活保護費や医療
介護保険などの
社会保障関係費につきましては、札幌市の予算に占める割合が高い一方で、国の関与度が高いなど、市政運営において大きな課題であると認識しているところでございます。過去の重点要望におきましても、生活保護の
全額国庫負担や
国民健康保険事業の健全化といった
社会保障制度の改正などに関する要望を位置づけてございました。
一方で、
社会保障関係経費につきましては、大都市共通の課題でありまして、
政令指定都市が共同で行う白本提案などの中で要望していることを踏まえて、より効果的・効率的な要望を行うよう、要望項目の重点化を図った結果、現在では重点要望に掲載していない状況となってございます。
◆
中川賢一 委員
社会保障制度に関する課題というものはもちろん重要だということで、認識は共有できたかなと思います。
過去には重点要望として取り上げていた時期もありましたが、現在は
政令指定都市共通の課題として、先ほど白本のご説明でも上位要望したということがありましたが、そういった経緯もあり、こちらでは個別に要望しないというご説明だったかと思います。
しかしながら、本市は、
政令指定都市の中でも、扶助費の比率が三本の指に入る高い水準でございまして、共通の課題とするのも結構ですが、他と比べても、それ以上に深刻な状況にあるとも捉えられるのではないかと考えます。
また、福祉の行政といいますのは、他の
行政分野と比較して、この国の制度の枠組みというものによるところが非常に多くて、自治体の裁量や工夫というものをなかなか組み込みにくい分野であります。これは、札幌だけのことではありませんが、一般に、自治体独自の戦略検討の姿勢というものは、他の政策分野に比べると薄いのかなと感じる部分でもございます。
そのことを裏返しますと、20年後、30年後を見据えて、早くからそれぞれの高齢化の速度や経済状況などに即した対策を小さいことであっても講じていった自治体とそうでないところの差は、いずれ顕著になっていくのかなというように考えるわけでございます。そういう意味では、本市に望まれる解決策を実現していく段階的な戦略としても、札幌が
社会保障を将来に向けての重要課題だと常に位置づけていることを国にアピールしていくことは意義があるのではないかなと考えます。
そういう中長期的な戦略的視点から、この重点要望の項目選定に係る基本的な考え方というものを改めて確認させていただきたいと思います。
◎芝井 政策企画部長 重点要望の項目選定に係る基本的な考え方についてお答えいたします。
重点要望につきましては、中長期的なまちづくりの方向性に加えて機動的な行政課題への対応といった視点が重要と考えており、まちづくり戦略ビジョンの位置づけなどを踏まえて、政策の継続性の観点から、昨年度に引き続き要望すべき項目に加えまして、本市の政策検討の熟度や議会議論などを勘案して新たな項目を選定しているものでございます。加えまして、まちづくりを戦略的に進めていく上では、社会情勢や国の動向を踏まえた効果的なタイミングといった要素もありますことから、適時適切な項目を選定していくといったことも重要だと考えております。
なお、生活保護などの扶助費につきましては、大都市の中でも保護率が高い札幌市において大変重要な課題と認識しておりますが、先ほどもご答弁申し上げたとおり、
政令指定都市共通の課題として各都市が一体となって要望することが効果的と考え、重点要望の項目にはしていない状況でございます。
こうしたさまざまな課題につきましては、ただいま申し上げました基本的な考え方に加えまして、白本提案や大都市局長級会議を初めとしたさまざまな要望における位置づけなども踏まえまして、札幌市としてより効果的な要望を引き続き国などに対して行ってまいりたいと考えております。
◆
中川賢一 委員 いろいろな理由、背景、チャンネルがあり、難しい選定なのかなというふうに思います。
今のお話の中で、効果的なタイミングということもございました。そういう意味では、タイミング的には今ではないというご判断なのかなと受けとめられるところでございます。また、政策検討の熟度や議会議論も踏まえて選定しているというご答弁でございました。そういう意味合いでは、
社会保障行政の実態や将来の深刻さの割に、有効な検討が自治体単位ではなかなかできていないのかなと思います。そしてまた、我々議会サイドの認識も、まだまだ危機感が足りないのかなというふうに考えるところでもございます。
まちづくり戦略ビジョンの位置づけを踏まえて選定しているという大きな方向性があるということですが、ビジョンにしましても、地域福祉力の創造というものが戦略の1丁目1番地に上げられておりますし、そして、この分野が一番大きな歳出項目であって、今後も右肩上がりで拡大するということは間違いございません。
項目の中にオリンピック、新幹線ございます。もちろん大変重要でタイムリーなテーマであり、札幌市を活性化していくために旬のテーマを取り上げていくということは当然大切でありまして、我が会派もそこはしっかりと後押ししていきたいと思います。一方で、札幌の本質的な課題、特に財政的影響の大きな課題からも目をそらすことなく、独自の立場でしっかりと声を上げていくことも必要なのではないかなというふうに考えます。
別に、今の段階で要望項目を変えようというつもりはございませんが、白本ではこうした視点も含めて要望もしておられるようでございますので、いろいろな要望のチャンネルやスタイルをより工夫して、効果的に活用できるよう、国への要望全体のやり方を再検討する余地がまだまだあるというところを指摘させていただきまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。
◆松原淳二 委員 私からも、平成30年度の札幌市重点要望(案)の中から、2項目ほど質問させていただきたいと思います。
一つ目は、6項目めの多様な教育環境の整備、そして、9項目めの環境負荷低減に向けた取組の推進について、大きく2項目お聞きしたいと思います。
まずは、6項目のうちの一つ目の少人数学級の推進に向けた
教職員定数の拡大について質問いたします。
福井県では、独自の少人数学級教育の実施等により、学力、体力ともに全国トップクラスの好成績をおさめるなど、顕著な成果を上げていると聞いています。同県は、きめ細やかな指導を実現するため、2004年から少人数学級を取り入れており、非常勤講師や加配定数を活用しながら、2015年度では、小学校で36人以下、中学校では32人以下の学級編成を10年かけて段階的に完成させてきております。特に、中学1年では、不登校の未然防止、学力向上のために30人学級を実施しているとのことです。
我が会派では、これからの札幌市の教育、とりわけ幼稚園から高等学校までの学校教育において、一人一人の子どもに行き届いた教育、そして、きめ細やかな教育を一層充実することが大切だと考えております。特に、義務教育において、少人数学級については、教育の質を高め、誰でも学べる社会をつくることを目指すためにも、今後、充実を図るべきと考えています。そのためにも、
教職員定数の充実を図ることで、将来的には、例えば、福井県のように、少人数学級を義務教育全学年に拡大していくことが望ましいと考えております。
そこで、質問ですが、少人数学級に対する札幌市の認識を伺います。
また、少人数教育として、札幌市ではこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、あわせて確認させていただきます。
◎芝井 政策企画部長 少人数学級に対する札幌市の認識と少人数教育のこれまでの取り組みについてお答えしたいと思います。
まず、少人数学級に対する札幌市の認識ですが、少人数学級につきましては、教員の目が子ども一人一人に行き届くことで、その状況を把握しやすくなり、個に応じたきめ細やかな指導が有効であると考えておりまして、少人数学級の拡充は望ましいものと認識してございます。
次に、少人数教育についての札幌市の取り組みですが、札幌市における少人数指導の現状といたしましては、多くの小中学校において、複数教員によるグループ指導といった、いわゆるチームティーチングなどを実施しているところでございます。また、平成28年度から、課題探究的な学習の充実の一環として、25人程度で算数の授業を行う算数にーごープロジェクトを試行的に実施しておりまして、今年度は実施校を5校から10校に拡大いたしました。次年度以降も、実施校をさらに広げていく予定でございます。
◆松原淳二 委員 少人数学級については有効であり、そして、望ましいということについては改めて理解させていただきました。また、少人数学級ではないものの、複数教員によるチームティーチングであったり、算数にーごープロジェクトといったものを活用しているということについても、一人一人丁寧な指導を行うという点では少人数教育の一環だと思っております。こういった取り組みについては、評価したいと思っております。
一方、学校現場の教師については、昨今、さまざまな社会問題があり、話題にもなっておりますが、毎日の授業や放課後活動、そして部活動の指導はもちろん、教材の準備や保護者の方々とのやり取りといった面でも、多種多様で多忙な毎日を送っていると聞いております。ゆとりを持って子どもたちに接することができないのではということについても危惧されております。
我が会派でも、従来より、いじめや不登校への気づきであったり、これらいじめや不登校を初めとするさまざまな諸問題への対応が喫緊の課題である中、子どもたちに直接向き合う教師が一人一人の状況をしっかりと把握し、適切な指導を行うことが重要であり、そのためにも、少人数学級を実現することが有効だと考えております。
2017年度からは、いわゆる
県費負担教職員の移管により、国や道から必要な権限と財源が移譲されたことで、札幌市は、
教職員定数やその配置などについて、包括的な人事管理が可能となりました。加えて、学校の設置管理者として、地域特性などを反映した教育により主体的に市民に提供することが可能となったことで、今後は、札幌市が、直接、国に対して要望をする立場となりました。
そこで、質問ですが、少人数学級の推進に向けた
教職員定数の拡充に向け、国に対してどのような働きかけを行っていくのか、このたびの要望の趣旨も改めて確認させていただきます。
◎芝井 政策企画部長 国に対する働きかけと今回の要望の趣旨についてお答えいたします。
少人数学級の拡充は望ましいものの、義務教育の一定水準の確保は国が保障すべきものと考えているところでございます。少人数学級の一層の推進のため、必要となる教員を長期的かつ安定的に確保すべく、ご質問にもありましたとおり、
県費負担教職員の
政令指定都市への権限移譲というタイミングを捉えて、関係法令などの改正によります
教職員定数の拡充を国に対して直接求めていくものでございます。
◆松原淳二 委員 地方の自治体による努力で子どもたちの行く先を支援するといったことは当然大事ではありますが、やはり、義務教育といったものは、国の責任が大きくあろうかと思います。
福井県のように、中長期的な視点に立って物事を進めていかなければいけないといったことで、札幌市としてもしっかりと国に必要な提言をしていきながら、子どもたちの将来に向けたしっかりとした教育現場をつくるために力を注いでいただきたいと思います。また、その間、先ほどあったようなチームティーチングといった札幌でもできる取り組みなども並行しながら、子どもたちのために一層励んでいただくことを求めておきたいと思います。
続いて、9項目のうちの水素社会の早期実現に向けた支援強化についてお伺いいたします。
水素社会の実現に向けた取り組みについては、さきの代表質問において我が会派からも質問してきたところでございますが、例えば、再生可能エネルギー由来の水素は、製造過程において二酸化炭素がほとんど発生しない、水素エネルギーは温暖化対策に大きく貢献すると注目されており、化石燃料にかわる新たなエネルギーとして期待されております。
国においては、水素社会の実現に向けた取り組みを加速させるため、2014年度に水素・燃料電池戦略ロードマップを策定し、2025年ごろまでに燃料電池自動車の20万台程度の普及と水素ステーションの320カ所程度の整備を目標として掲げております。また、札幌市においても、2017年3月に札幌市燃料電池自動車普及促進計画を策定し、2030年度までに燃料電池自動車を3,000台普及させ、水素ステーションを4カ所以上整備することを目標としております。
そこで、質問ですが、まず、現状の確認として、全国における燃料電池自動車及び水素ステーションの普及状況について伺います。
また、国の支援制度はどのようなものか、あわせてお伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 全国の燃料電池自動車及び水素ステーションの普及状況、国の支援制度についてお答えいたします。
資源エネルギー庁によりますと、平成28年度末時点で燃料電池自動車は約1,500台が普及している状況でございます。また、水素ステーションは、平成29年4月末現在で90カ所が整備済みであり、計画中のステーションも含めると98カ所となってございます。
現在の国の支援制度でありますが、燃料電池自動車につきましては、同種同格のガソリン自動車の価格との差額に対して3分の2が補助される仕組みとなっておりまして、現在市販されている車両に対しては、およそ200万円の補助となってございます。また、水素ステーションにつきましては、事業者が整備する設備規模などにより、その整備費用の2分の1または3分の2が、また、運営費につきしても3分の2が補助される仕組みとなってございます。
なお、運営費につきましては、業界団体であります一般社団法人水素供給利用技術協会からも3分の1が補助されている状況でございます。
◆松原淳二 委員 全国の普及状況ですが、水素ステーションは、計画中のものを含めると98カ所、燃料電池自動車は約1,500台ということでございます。また、2分の1から3分の2程度の補助ということについても確認させていただきました。
さて、札幌市では、今年度から、北海道と連携して、水素ステーションの整備にかかわる補助制度を創設したところでございます。年度内にはいよいよ、道内では室蘭市に続いて2カ所目となる移動式水素ステーションが豊平区の月寒東に設置されることとなりました。さきの代表質問の答弁においても、エネルギーの大消費値である札幌市が、道内の水素需要を創出する重要な役割を担っているとの認識のもと、燃料電池自動車の普及に積極的に取り組むことで、北海道の水素社会の形成に寄与していく旨の答弁がございました。また、北海道においても、水素社会の実現を目指した戦略ビジョンを策定し、札幌市を含めた産学官の連携のもと、取り組みを進めていくとのことでございます。まさに先週、札幌市を含めた関係市町村で構成される道央圏FCV普及促進戦略会議、及び、産学官連携のための北海道水素イノベーション推進協議会が開催されたとのことでございます。
そこで、質問いたしますが、水素社会の実現に向けては、札幌市のみならず、国や北海道、民間企業や大学などの研究機関など産学官連携が不可欠だと思いますが、今ほど申し上げた先日開催された二つの会議においてどのような内容が話し合われたのか、お伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 先日開催されました会議における協議内容につきましてお答えいたします。
ご質問にもありましたが、6月7日に、北海道の豊富な再生エネルギーを生かした水素社会の形成のために産学官が連携して取り組みを推進する、北海道水素イノベーション推進会議と、道央圏での燃料電池自動車の普及と水素ステーションの整備を促進する道央圏FCV普及促進戦略会議が開催されたところでございます。
両会議では、北海道や室蘭市の燃料電池自動車普及に向けた取り組みなどの最新動向のほか、水素利用機器の状況などが紹介されたところでございます。
さらに、道央圏を中心とした今後の水素ステーションの展開についての課題や、北海道らしい水素サプライチェーンの構築などに向けた課題認識を共有したところでございます。
◆松原淳二 委員 二つの会議で最新の情報共有が行われたということでございます。室蘭に引き続いて、他の市町村では、さまざまな検討が具体化に向けて進んでいるやに報道などでも聞いております。札幌市も、水素ステーションの設置については確認させていただきましたが、今後、より具体的な検討が必要になってくると思っております。こうした動きは、北海道における水素社会の実現に寄与するものであり、今後一層、水素利活用の取り組みが進んでいくものと期待しているところでございます。
国は、水素社会の実現を強力に推進しているところでございますが、水素ステーションやFCVについては、目標どおりの普及が進んでいないとの新聞報道なども目についてございます。水素社会の実現に向けては、課題が多くあろうかと思います。
そこで、質問ですが、水素社会実現に向けた課題と、その課題解決に向けた今回の要望の趣旨についてお伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 水素社会の実現に向けた課題と今回の要望の趣旨についてお答えいたします。
水素社会の実現に向けた課題といたしましては、まず、燃料電池自動車や水素ステーションの導入コストが高額であるということや、水素の製造、貯蔵及び輸送にかかわる低コスト化のほか、水素ステーションに対する補助について、東京、大阪、名古屋、福岡の4大都市圏以外の地域に対して、燃料電池自動車の普及等を求める追加要件があることなどと認識しております。
こうした課題の解決に向けまして、水素ステーションの設置における追加要件の緩和や、水素製造などにおける低コスト化のための技術開発の促進、さらには、北海道が高いポテンシャルを持つ再生可能エネルギーに由来した水素の普及に向けた施策の拡充を要望するものでございます。
◆松原淳二 委員 コスト面も含めて大きな課題があろうかと思いますし、また、4大都市圏との差といったものは非常に大きなものがあろうかと思います。水素社会の実現に向けた取り組みを推進していくためには、水素の大量かつ安定的な製造などにかかわる低コスト化なども必須であり、これを実現する技術開発の促進においても国に対して要望していくということでございます。
我が会派としても、水素社会の早期実現は重要な政策課題と考えており、札幌市において、水素インフラの拡充に向けた取り組みを着実に進めることができるよう、課題解決に向けた積極的な要望を私たちの会派としてもしていきたいと思います。
積極的な取り組みになるよう、最大限努めていただくことを求めて、私からの質問とさせていただきます。
◆好井七海 委員 私からは、大きく2項目について質問させていただきます。
1点目は、要望6点目の多様な教育環境の整備のうち、公立中学校夜間学級の設置に向けた支援についてであります。
公立中学校夜間学級については、ことし2月の文教委員会を初めとして、我が会派としても幾度も議論させていただいてきたところですが、昨年12月にはようやく教育機会確保法が成立し、全ての
地方公共団体に、夜間、その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供が義務づけられました。文科省は、都道府県に少なくとも1校は夜間学級を設置するという方針を掲げており、設置が進むことで、義務教育未修了者や形式的既卒者など、多様な事情を抱えた方の就学機会が確保されるものと期待しております。
そこで、質問ですが、まず、現在の全国における夜間学級の設置状況と、設置に当たり国から示されている学級編成等の基準についてお伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 全国の夜間学級の設置状況と学級編成などの基準についてお答えいたします。
いわゆる夜間学級は、公立の夜間学級とNPOなどが実施主体となる自主夜間学級があります。このうち、公立中学校夜間学級につきましては、平成28年度現在、8都府県25市区で、31校が設置されております。また、識字講座などを含む自主夜間学級につきましては、札幌市も含めて全国に300校以上があると承知しております。
次に、学級編成などの基準についてですが、平成29年4月に文部科学省から示されました夜間中学の設置・充実に向けてという手引によれば、市区町村が夜間学級を設置する場合は、いわゆる
義務標準法に基づいて、通常の小中学校と同様の基準により、学級編成及び
教職員定数の算定を行うこととされております。
◆好井七海 委員 NPOが実施主体となる自主夜間学級は全国各地にありますが、公立中学校の夜間学級については、全国的に見ても設置の例は少ないということで、今後、法令による義務づけの効果を期待したいところであります。また、教育機会確保法には、夜間学級の設置に当たり、協議会を設置することができると規定しております。この協議会は、公立中学校夜間学級に必要な事務の役割分担についての協議と連絡調整を行う場となるものでありますが、その構成員については都道府県や市町村、民間団体と規定されており、今後、北海道や札幌市においてもこうした場の活用を積極的に進めるべきと考えます。
そこで、質問ですが、このたびの要望文を拝見しますと、夜間学級の設置に向けた検討を北海道と連携しながら進めるとありますが、検討の進捗状況についてお伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 北海道と連携した検討の進捗状況についてお答えいたします。
札幌市における公立中学校夜間学級の設置に向けては、これまでも北海道と意見交換をしてきたところでございまして、今後、どのような教育を行うかといったことについて、さらに意見交換をしながら、法に定める協議会の設置に向けた準備を進めていくところでございます。
また、この協議会での議論とあわせまして、本市において夜間学級への就学意向があると想定されます高齢者を中心とした義務教育の未修了者や、不登校などにより形式的に中学校を卒業した比較的若い年代の方々を対象として、詳しいニーズ調査を行うことを考えているところでございます。
◆好井七海 委員 今後、さらに北海道と意見交換をしながら、協議会の設置に向けた準備を進めていくとのことでありますが、ぜひ、早急に検討を進めていただきたいと考えます。
また、協議を踏まえて本市が詳しいニーズ調査を実施するとのことでありますが、より多くの方々のニーズを把握することができるよう、さまざまな工夫をしていただきたいと思います。
さらに、ことし2月の文教委員会においても我が会派の國安委員が質問したところではありますが、札幌市には平成2年から開催されている自主夜間学級の札幌遠友塾があり、同塾が夜間学級のノウハウを蓄積していると考えられることからも、指導方法や、教材に関する情報提供や、同塾のスタッフの協力を仰ぐなど、人材活用の面での交流も検討してほしいと考えております。
夜間学級には多様なニーズが想定され、さらに、潜在的なニーズも数多くあると考えられ、法が掲げている年齢、国籍、その他の事情にかかわりなく、能力に応じた教育を受ける機会を確保するという理念を実現するためにも、札幌市においても早期設置が必要と考えます。
そこで、質問ですが、夜間学級設置に向けた課題とこのたびの要望の趣旨について、改めてお伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 夜間学級設置に向けた課題と要望の趣旨についてお答えいたします。
先ほどもお答えいたしましたが、現在の制度では、市区町村が公立中学校夜間学級を設置した場合には、通常の小・中学校と同様の基準で学級編成及び
教職員定数の算定を行うこととされております。
この基準では、生徒40人に1人の教員配置が基本となっておりますが、この体制では、夜間学級が対象とする幅広い年齢や国籍、生活状況の方々のニーズに合わせたきめ細かい指導は難しいと考えているところでございます。
今後、効果的な夜間学級の設置に向けて、学力の習得状況に応じた指導や専門教科の指導などを円滑に行うことができますよう、
教職員配置の拡充を可能とするような制度改善を国に対して要望するものでございます。
◆好井七海 委員 一日も早く札幌市に夜間学級が設置されることを希望してはおりますが、文科省が示す通常の中学校と同様の教員配置では、夜間学級へのニーズを踏まえると実態に則していないものになる可能性があり、その結果、設置したとしても学校運営に影響したり、そもそも各自治体において設置が進まないのではないかと危惧するところであります。
授業を受ける側の目的に沿うと、読み、書き、計算の段階から中学教育レベルまでカリキュラムに幅があることは容易に想定されるところですが、例えば、少なくとも特別支援学級並みの学級編成が可能となるような制度や財政上の支援が必要ではないかと思います。
本年2月には、本市議会において公立夜間中学校のすみやかな設置を求める陳情が全会一致で採択されたほか、市長が札幌遠友塾自主夜間学級を視察されたことは、その設置を強く求めてきた我が会派としても非常に心強く感じております。
今回の札幌市重点要望の1項目として夜間学級の設置に向けた支援を取り上げたことからも、引き続き国に対して設置に向けた支援を強く要望し、次の質問に移ります。
次に、5点目の子ども・
子育て支援の充実・強化に関連して質問いたします。
子育て世帯に対する経済的支援は、少子化対策に資する根幹の政策として強く推進を図るべきでありますが、中でも、特に子どもの医療制度については、私も医療分野にかかわっていたものとして大変関心の大きい政策であります。国を挙げた少子化対策を強力に推進するためには、全ての子どもたちの健康にかかわるため、これから子どもを生み育てる世代の方々にとって関心は大きく、少子化に歯どめをかけるには非常に有効な施策の一つではないかと思います。
そこでまず、確認ですが、札幌市における子どもの医療費助成について、国、北海道、札幌市はそれぞれどのようにかかわっているのか、お伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 札幌市の子どもの医療費助成制度にかかわる国、道、市のかかわりについてお答えいたします。
市町村が実施する子ども医療費助成事業につきましては、各都道府県の補助事業を活用して実施しておりますが、多くの市町村においては、独自に補助対象の基準を上回る拡充策を講じておりまして、その拡充部分については市町村の単独事業として実施しております。
なお、国は、
医療保険制度における就学前児童の自己負担を2割としているほか、子どもの医療費助成に関する支援は実施していない状況にございます。
札幌市におきましても、道の補助事業として医療費助成を実施しておりまして、道から補助対象となる経費の2分の1について補助金を受給しておりますが、札幌市もまた、道の補助制度を上回る助成をしております。
具体的には、課税世帯における3歳以上の就学前児童の自己負担額を1割負担から、初診時一部負担金のみとする軽減や、中学生の入院医療費を助成対象としている状況でございます。さらに、平成30年度からは、新たに小学1年生の通院を助成対象に拡大する予定でございます。
◆好井七海 委員 札幌市では、道の補助を受けて実施しているとのことですが、その対象外の一部に独自の拡充措置を講じて助成対象の拡大を図っており、来年度からさらに通院の助成対象を小学1年生まで拡大する予定とのことです。
一方で、東京23区やさいたま市のように、入院、通院ともに中学生まで助成対象としている自治体もあるので、小・中学生の子どものいる家族が東京から引っ越してきたときに、子どもの医療費がかかることに驚いたという話を聞くことも少なくありません。札幌市も含めた全ての自治体において、さらなる経済的支援のために、独自で自己負担分に対する医療費の軽減や無料化を講じているわけですが、自治体の財政負担も大きく、その制度内容にばらつきが見られ、さらに自治体間の競争激化につながっている状況にあるとお聞きしております。
そこで、質問ですが、一昨年から昨年にかけて、子どもの医療分野における今後のあり方等についての検討を行うため、厚生労働省において有識者で構成される子どもの医療制度の在り方等に関する検討会が開催されたところでありますが、検討会では、各自治体で実施されている子どもの医療費助成制度についてどのような意見が出ているのか、お伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 国の検討会における子どもの医療費助成制度に関する意見についてお答えいたします。
厚生労働省が平成27年度に開催いたしました有識者会議、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会は、
少子高齢化が進む中、
子育て支援や地域包括ケアなどに関する実効性のある施策展開という観点から、子どもの医療分野の今後のあり方などについて検討したものでございます。
このうち、子どもの医療にかかわる制度に関する議論では、子どもの医療費の負担、減免に関する地方単独事業につきまして、
社会保障制度の一環として国の制度設計に基づき実施されるべきで、せめて未就学児については全国一律の制度として、どこに住んでいても同じであるべきといった意見や、自治体間で拡大競争が進んでいることから、国として地域における子どもの医療費負担のあり方に対し、早急に一定の線を引くべきといったような意見も出されておりました。
最終的には、子どもの医療費助成の創設などといった制度のあり方をまとめるまでにはいたらなかったと承知してございます。
◆好井七海 委員 国の検討会においても、国の制度設計に基づいて実施されるべき、全国一律の制度として、どこに住んでいても子どもの医療費は同じであるべきとの意見も出たとのことですが、私も、これからの国の未来を支える世代のために、全国どこに住む子どもであっても、必要な医療を安心して受けられるように、子どもの医療費については全国一律の軽減策があってしかるべきと考えます。
そこで、質問ですが、このたびの重点要望においては、昨年から継続して全国一律の子どもの医療費助成制度の構築を掲げておりますが、その要望の趣旨をお伺いいたします。
◎芝井 政策企画部長 医療費助成制度に係る要望の趣旨についてお答えいたします。
子どもの医療費助成は、少子化対策の一環として、自治体間における制度拡充の競争を激化させている側面があると考えます。しかし、子どもの医療は、自治体の政策や財政力に左右される取り組みではなく、全国一律の制度として、どこに居住していても一定水準の負担となるべきと考えます。
したがいまして、全ての地方自治体が実施しております子どもの医療費助成制度につきましては、ナショナルミニマムとして、国の制度設計により、全国一律の制度の構築を要望するものでございます。
◆好井七海 委員 最後に、要望になりますが、札幌市の出生率は、増加傾向にあるものの、依然として全国平均、全道平均よりも低い状況が続いております。人口減少社会の到来を迎え、少子化対策は喫緊の課題であります。この度の要望のとおり、国による全国一律の子どもの医療費支援制度が構築されることで、今まで各自治体が単費で捻出していた財源を他の
子育て支援の施策に振り向けることも可能であります。また、社会全体で協力して子どもの成長を支え、誰もが子どもを産み育てやすい環境づくりを進めるという意味においても、大変意義があると考えます。
我が会派としても、ナショナルミニマムとしての国による医療費助成制度の創設を強く求め、質問を終わります。
◆小形香織 委員 私からは、九つの重点要望のうち、項目3の国道5号(創成川通)の機能強化の早期実現について、札幌都心アクセス道路検討会が国も加わった形で設置されたところですので、質問したいと思います。
項目の2点目のところですが、国による国道5号(創成川通)の機能強化の調査推進となっております。これまで、本市は、2015年度には500万円、2016年度には1,000万円、そして今年度には500万円のアクセス道路の調査検討のための予算をつけてさまざまな調査を行ったと聞いておりますけれども、この調査とは具体的にどのようなことを行ったのか、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
◎芝井 政策企画部長 2015年度と2016年度に実施した札幌市の調査内容につきましてお答えをいたします。
まず、2015年度は、国道5号の現況の課題や効果分析など、創成川通の機能強化に関する基本的な考え方について検討を行いまして、創成川通の交通課題や期待される効果などについて整理いたしました。また、2016年度は、前年度に引き続き、基本的な考え方の補足検討を行うとともに、パンフレットの作成やパネル展の開催、あるいはアンケートの実施など、市民との情報共有に関する取り組みを実施したところでございます。
◆小形香織 委員 随分と雑駁なご答弁でしたが、結局、その交差点のところにどれだけの車が通っているのかとか、車を1台ずつカウントしていっているわけですね。信号は1回の青でいけるのか、3回待たされるのかとか、今おっしゃったような目的をもとに、具体的には交通量調査をされてきたのではないかと思いますが、今回の重点要望の中では、国に対しては調査の推進を要望するとなっており、これまで本市が行ってきた調査と重複するのではないかというふうに思うわけです。
一体、国にどのような調査をしていただくことを期待して要望を出されているのか、伺いたいと思います。
◎芝井 政策企画部長 札幌市は国に何を期待して調査の推進を要望するのかといった点についてお答えしたいと思います。
創成川通の機能強化に関する検討は、今後、国、道及び市から成る検討会におきまして、3者で連携して構造の概略検討などを行うこととしております。今後、適宜、市民に情報提供しながら進めていく予定でございます。
国の調査につきましては、これまでの札幌市の検討結果も十分に踏まえながら進められるものと考えております。また、創成川通は国道でありますことから、国に国道管理者としての専門的な立場から調査検討を進めていただくことを期待して、要望するものでございます。
◆小形香織 委員 検討の結果を踏まえた形で調査を進めていただきたいと要望していくということなのだろうと思いますが、国が国道の管理者としてという点では、確かに5号線そのものは国有でありますから、きちんと見ていただく必要があるだろうと思いますけれども、この道路の混雑度は既に0.87という数値であります。それは、渋滞がどれだけあるかという4ランクに分けたランクの中で言えば、最も混雑していない分類の道路であるということは本市の数値でわかっているわけですね。そして、5号線だけではなく、本市を通る国道全体を見回せば、日常的に渋滞を起こしている道路がほかにあるのではないかとも思っておりまして、アクセス道路の建設ありきで、そこだけを見て調査検討して推進しようとする姿勢というのは、まちづくりの方向性を誤る可能性があるのではないかと思っております。国に対して道路の調査を要望するのであれば、5号線のみを見た調査ではなくて、本市を通る国道全体をバランスよく調査していただくことを要望するべきではないかと考えます。渋滞の解消、あるいは、本市は、この間、札幌北インターから数分の時間短縮になるということを期待される効果として述べておりますけれども、市民生活や地元の経済にどれだけの効果があるのかという点では、私たちは議会でいろいろ質問しておりますけれども、答弁の内容がいまだに不明であります。
市民の意見は賛否が真っ二つに分かれておりますし、これから本市全体は人口減少で車も減っていくという中で、重点項目として創成川通の機能強化の早期実現の調査を入れるということに対しては大変疑問を感じております。それよりも、今ある道路の維持管理あるいは除雪の強化を重点にすべきではないかという意見を持っております。
そのことを述べまして、質問を終わりたいと思います。
◆石川佐和子 委員 私からは、8項目めの再生可能エネルギーの普及・促進について伺います。
2011年3月の東日本大震災と、それに起因をした福島第一原発事故による、脱原発を求める国民の声を受け、電力システム改革が進められていると思います。2012年7月には固定価格の買い取り制度が導入され、2016年4月には電力全面自由化がスタートし、家庭も含めて電力の小売が自由化されたところです。
しかし、政府は、再生可能エネルギーの拡大を図る一方で、繰り返し固定価格買い取り制度の見直しを実施しており、電力会社による太陽光、風力の接続容量の設定を指示し、無制限、無保証の出力抑制を認めております。
再生可能エネルギーの拡大に当たっては、効率的な活用が重要であり、接続可能量など系統運用のあり方について改善すべき点が事業者や有識者等により指摘をされております。例えば、自然エネルギーの出力制御ルールにおける30日などの出力制御枠の評価においては、原子力発電の新設や再稼働を前提としていることから、導入の可能性が過少評価されております。
原子力発電は、現在稼働しているものはごく一部ですが、建設中のものも含めた最大限23機分の設備が平均的な設備利用率による一定出力で稼働することが想定されておりまして、抑制も想定されておりません。つまり、原子力発電の将来の給電を妨げないよう、前もって自然エネルギーを制限する空抑えの状態でありまして、電力会社は、こうした長期固定電源と言われている原子力、揚水を除く水力、地熱等を優先して給電するという考え方に基づき、太陽光発電や風力発電の導入に対し、無制限、無保証の出力抑制の条件を課しているわけです。こうしたことが再生可能エネルギーの普及促進を阻害していると指摘されている状況です。
一方、2017年2月、資源エネルギー庁は、発電事業者間の出力制御の公平性を保つためとしてガイドライン(案)を示し、3月に公表したと聞いています。
そこで、1点目に伺いますが、原子力発電による空抑えは、太陽光や風力発電の新規の導入を制限し、電力供給における火力発電への強い依存を維持する可能性があることから、原子力発電による空抑えを前提とした30日等出力制御枠の試算の見直しを行うべきと考えますが、この度のガイドラインではどこまで見直しが進んだのか、伺います。
◎芝井 政策企画部長 このたびのガイドラインでどこまで出力制御にかかわる見直しが進んだのかについてお答えいたします。
資源エネルギー庁では、ことし2月に出力制御に関するガイドライン(案)を提示して、パブリックコメントを実施した後に、3月に出力制御の公平性の確保に係る指針を策定しております。この指針におきましては、出力制御の考え方について、出力制御の機会均等などが明確化され、再生エネルギーによる発電事業者の公平性を確保するように見直しがされたところでございます。
◆石川佐和子 委員 出力制御の公平性の確保に係る指針の中で考え方が示されて、出力制御量ということではなく、出力制御の機会とガイドラインの中では改められたということでありました。
このガイドラインが示す出力制御の公平性といいますのは、太陽光や風力発電における出力制御の機会、要するに風力と太陽光の機会を示しておりまして、制御日数が違っていても、手続上、公平であれば問題はないと私も理解しているところであります。また、太陽光においては、この重点要望の中にも示されているように、住宅用の太陽光も制御され、出力制御の補償もないという大変厳しい内容になっております。
こうした問題点において、ここで議論を深めることは難しいとも思いますし、国のエネルギー基本計画が策定されている中で、札幌市の重点要望としては、原子力による給電の空抑えを問題視することは難しいと一方で考えるところですが、札幌市におきましては、まちづくり戦略ビジョンにおいて、低炭素社会と脱原発依存社会を目指した持続可能なまちづくりを進めるとし、また、エネルギービジョンにおいて、省エネの推進や再生可能エネルギーの導入拡大等の施策を具体的に展開していることから、それらの実現のために仕組みの問題や課題の内容によっては積極的に指摘していくべきだというように考えるところです。
たとえば、原子力のような従来型発電の長期計画が先に連系線を専有すると、空き容量が過小評価されてしまう問題でありまして、連系線の利用率は、例えばEUにおきましては60%から70%ということでありますが、北海道と本州の連系線である北本連系の実際の利用率は10%程度と聞いています。比較すると、これはかかなり低いものであり、もっと利用できるというふうに指摘されています。
こうしたことから、30日等の出力抑制制御の試算において、実際の需給での空き容量を評価、検証し、効率的な運用につなげるべきだというふうに考えます。
そこで、伺いますが、太陽光発電や風力発電の出力抑制を低減し、再生可能な自然エネルギーの導入拡大に向け、連系線を通した系統の広域運用が重要であると思いますけれども、接続可能量の定期的な検証等に関する情報公開を徹底するなど、より公平で透明性のある制度とするよう強く求めるべきと考えますがいかがか、伺います。
◎芝井 政策企画部長 より公平で透明性のある制度とするよう強く求めることについてお答えいたします。
今回の国の指針では、出力制御の見通しの公表など情報公開に関する規定が設けられましたほか、電力広域的運営推進機関による出力制御にかかわる検証が拡大されたところでございます。
札幌市といたしましては、再生可能エネルギーのさらなる普及が進みますよう、接続可能量の定期的な検証を着実に実施するよう、引き続き国に対して求めていくこととしたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 最後に、要望になりますが、市民や自治体が自然エネルギーを選択できるようにするため、今後、自然エネルギーをさらに拡大していくことが本当に重要だというふうに思います。北海道には自然エネルギーのポテンシャルが非常に多くありますが、その本格的導入の実現を阻んでいるのが、一つには接続可能量という制約があることだと思っています。
自然エネルギーの導入拡大に向け、現在の北本連系の広域運用や、さらなる連系線の拡大など、札幌市が地域資源である自然エネルギーを活用し、脱原発依存社会を実現していくことが重要だというふうに思います。
この間、少なくとも直近の3年間、札幌市は、重点要望の1項目として再生可能エネルギーの普及促進について言及しておりますが、ほぼ同じ内容となっており、しかも今年度は要望の結果は特になしとなっておりました。2020年に向け発送電分離を視野に入れ、電力系統や接続可能量等の徹底した情報公開など、送電線の公平性、透明性が担保される運用の提案を強く求めるべきということを申し上げて、私の質問を終わります。
○
佐々木みつこ 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
佐々木みつこ 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、本日の委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時14分...